
解説動画をYouTubeにUPしました。動画での解説と、このサイトでの解説を少し変えましたので、ぜひどちらも参考にしてください。
まずは力の矢印を描けばいいんだよね。でも、どうやって描けばいいの?
最初に着目する物体を決めるんだ。この問題の場合は、棒だね。その棒にはたらいている力を描くよ。ポイントは
ということなんだ。描けるかな?

まずは重力ね。大きさは

。次はくっついているものね。糸がくっついているから、糸の張力を描くわね。糸の張力は

でいいの?

いいね。この問題はその

を求めたいんだね。
あとくっついているのは、ちょうつがいのところだけど、力はどっち向き?

ちょうつがいのところをA点とするよ。実はAにはたらいている力の向きは難しいんだ。棒にはたらいている力は重力

と張力

とAにはたらく力の3つしかないんだよね。この3つの力がつり合っていると考えると、Aにはたらく力の向きは求めることができるんだけど、残念ながら正確には分からないね。
力の向きがわからないと力のつり合いの式は立てられないけど、1つくらい力の向きがわからなくても立てられる式があるんだ。
A点のまわりの力のモーメントのつり合いの式だったら立てられるね。
たしかにこの「
力のモーメント」っていうページにも、「やっかい」って書いてあるけど、とにかくやってみよう!
まず大切なのはA点を中心とすると、A点にはたらく力は関係ないっていうことね。
そうだね。モーメントって「力✕中心から力の作用線までの長さ」なんだけど、中心にはたらいている力は、作用線までの長さが0になるからモーメントも0になるんだね。
じゅあ、

から考えるけど、

の作用線までの長さってどこにも書いてないわ。
そうだね。この問題には長さの情報が全くないね。こういう時は、自分で決めちゃえばいいんだ。ちょうど棒の長さが

までの長さになっているので、棒の長さを

としよう!

そうすると、A点のまわりの

のモーメントは

でいいのかな?
そうだよ。合ってるんだけど、向きも考えなきゃダメなんだ。まず、回転の中心Aと、

だけを考えるよ。

棒のAの部分だけ固定して、棒が回転できるようになっていると考えよう。このとき、棒は

によって回転するよね。時計回りに回転するか、反時計回りに回転するか、どっち?

そうだね。このとき、A点のまわりの

のモーメントは「正」だとするんだ。
反時計回りだと「正」で、時計回りだと「負」ということ?
その通り!実際は正の決め方は分野によって違うんだけど、物理では「反時計回りを正」とすることが慣例になっているんだ。なので、A点のまわりの

のモーメントは

になるんだ。
じゃあ、符号もむくめて、A点のまわりの重力のモーメントはどうなるかな?
点Aと重力

だけ考えるのね。

時計回りだから、符号は「負」ね。だから、

・・・えっと、長さはどうなるの?
そうだね。A点から

に垂線をおろして、その長さを求めればいいんだ。


は棒の中心から出ていて、さらに棒と垂線の角度は30度だから、

ね。
そう。だからA点のまわりの重力のモーメントは

になるんだ。で、この

と

のモーメントがつり合って棒が回転しないので、A点のまわりの力のモーメントのつり合いの式を立てるとどうなるかな?
2つのモーメントを足して0になればつり合っているってことになるのね。なので、


最後までたどり着くのがたいへんだったけど、よーく分かったわ。
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[…] 2015年度第1問 問5「モーメントのつり合い」 […]