分子の2乗平均速度って、公式みたいのがあるんだっけ?
確かに教科書には載ってるね。もちろん、公式を覚えていたらこの問題は簡単なんだけど、覚えていなくても関係性が分かっていれば、答えは出せるんじゃないかな?
まずは分子の2乗平均速度と分子の質量の関係だね。何か覚えていることはないかな。
「2乗平均速度は温度で決まる」のか、「運動エネルギーは温度で決まる」のか、どちらかだったと思うんだけど。
すごいじゃない!どっちも正解だよ。飛び回っている分子のスピードが速いと,温度が高いって言うことなんだよね。実際に大切なのは,運動ネルギーの方で,こんな感じだよ。
そういうことなのね。ということは、運動エネルギーは
だから,運動エネルギーが一定だとすると,質量が小さい方が速さは速くなるわね。
そうだね。これで⑤〜⑧に絞られたね。2乗平均速度と温度との関係はどうなるかな。
温度が高いと運動エネルギーは大きいのよね。つまり,2乗平均速度も大きくなるでしょ。
まぁそうだね。⑤か⑥だ。教科書には平均の運動エネルギーは絶対温度に比例するという次のような式が書かれているよ。
見たことがあるような気もするわ。この
って何?
「ボルツマン定数」っていう名前が付いているよ。簡単に説明すると,「1分子あたりの気体定数」のことなんだけど,とにかく「定数である」っていうことが大切だよ。
なるほどね。最後は、「温度を一定に保ちながら気体の圧力を変化させる」のね。2乗平均速度は圧力や体積とは関係がないんだから、答えは「変化しない」ね。
正解!答えは⑥だ。一応さっきの式を変形するとこうなるよね。
ちょっと文字にするとややこしいけど,左辺が2乗平均速度のことで,絶対温度の平方根に比例しているんだね。次は問2だ。
あれ?計算じゃない!やっぱり公式を覚えていなきゃできないんでしょ。
確かにこれも公式を覚えていれば、答えは出せるね。でもなんでもかんでも覚えればなんとかなる、っていうことでもないんだ。
そうだね。でも大丈夫。じゃあ、最初に出てくる「単原子分子理想気体」っていう言葉から何か思い出さない?
よく聞くキーワードよね。確か、内部エネルギーが決まってるんだよね。
ちゃんと覚えてるね。実は理想気体の場合、その内部エネルギーって、運動エネルギーの総和なんだよね。
ということは、
を計算すればいいの?
ただそれは、
モルの気体の場合の式だよ。この問題は分子1個あたりだから、どうすればいいかな?
1モルあたりにして、さらにアボガドロ定数で割ればいいのね。
定積モル比熱を
、定圧モル比熱を
とすると、①は
、②は
、③は
、④は
と
は無関係ということだ。
定積モル比熱とか、定圧モル比熱っていう言葉を聞くと、すごく難しく感じるんだけど、この関係は聞いたことあるわ。
確か、定圧変化だと加えた熱が、温度上昇だけじゃなくて、仕事にも使われるから、比熱が大きくなるんじゃなかったっけ。
その通りだよ。確認をしておくよ。モル比熱って,こういうことだよね。
気体の場合は,同じだけ温度を上げるにも,定積変化と定圧変化で必要な熱量が違うんだよね。
この定積変化の時のモル比熱が「定積モル比熱」で,定圧変化の時が「定圧モル比熱」よね。
そうだね。この定積モル比熱
と定圧モル比熱
の関係はマイヤーの関係式という式で表せるんだ。
覚えていなくてもいいけど,知っていると便利だし,この式を導き出す問題も良く出題されるね。
確かに引き算すると
になるわね。