センター2016物理第3問A「定常波とドップラー効果」

3A-1

3A-2

物理が得意な秀樹
左右から音が出ているんだね。2つのスピーカーの間ではどんなことが起こっているか分かるかな?

物理が苦手な文子
音は波なので、一般に波が左右から来てぶつかった状況を考えればいいのね。

物理が得意な秀樹
そうだね。

物理が苦手な文子
確か2つの同じ波がぶつかると、大きく振動する腹と振動しない節ができるんじゃなかったっけ。定常波って言うんだよね。

物理が得意な秀樹
その通り!じゃあ、この2つのスピーカの間の定常波はどんな風になっているか、描けるかな。本当は音は縦波だけど、横波のように描いてみるんだったよね。

3A-5

物理が苦手な文子
定常波の図は描けるけど、どう描けばいいのかな?

物理が得意な秀樹
波長や振幅は分からないのでだいたいで描いてくれれば良いんだけど、外せないポイントが1つだけあるんだ。

物理が苦手な文子
ん~全然思いつかないわ。

物理が得意な秀樹
ヒントはAとBの中点かな。

物理が苦手な文子
AとBの中点がどうなっているのか分かるっていうことね。Aのスピーカーからの距離と、Bのスピーカーからの距離が等しいのよね。そうか、波源から等距離ということは、強め合って腹になるのかな?

3A-6

物理が得意な秀樹
正解だ!この問題ではAとBの中点が腹になる、ということしか分からないから、それさえ守って図を描けば良いんだ。

物理が苦手な文子
ABの中点を腹にして定常波を描くと、こんな感じね。腹のところは音がもっとも強めあう点だから、Lは腹と腹の間隔ね。

物理が得意な秀樹
定常波の図を見て、波長は分かるかな。

物理が苦手な文子
山から山までが波長よね。

3A-7

物理が得意な秀樹
そうだね。それでは問題に戻って、Lはどう表せるかな。

物理が苦手な文子
v=f\lambdaを使うと、

    \begin{eqnarray*}L&=&\frac{\lambda}{2}\\&=&\frac{1}{2}\times \frac{V}{f_0}\\&=&\frac{V}{2f_0}\end{eqnarray*}

物理が苦手な文子
なので、答えは⑤ね。

物理が得意な秀樹
正解!じゃあ、問2へ行こう。この問題は観測者が動いていて、振動数を求める問題だから、ドップラー効果を考えるのは分かるかな?

3A-8

物理が苦手な文子
さすがに分かるわ。

物理が得意な秀樹
ドップラー効果の公式は覚えてる?

物理が苦手な文子
これでしょ。

    $$f´=\frac{V-v_o}{V-v_s}f_0$$

物理が苦手な文子
複雑な式だけど、なんとなくこの式は覚えちゃったわ。

物理が得意な秀樹
この式を覚えていれば、あとはこの問題の設定を入れるだけだね。

物理が苦手な文子
やってみるわ。

    $$f´=\frac{V-v}{V-0}f_0$$

物理が苦手な文子
あれ?これでいいのかな?符号が分からなくなっちゃった。

物理が得意な秀樹
ドップラー効果の公式を使うときには、大切なことが1つあるんだな。覚えてないかな。

物理が苦手な文子
そういば、何かあったような・・・そうだ!正の向きね。

物理が得意な秀樹
そう。ドップラー効果の公式を使うときには正の向きが決まっていて、必ず音源から観測者の向きを正とするんだよ。

3A-9

物理が苦手な文子
そういえば、そうだった。ということは、観測者はAに向かって動いているから、負の向きということね。なので、

    \begin{eqnarray*} f_A&=&\frac{V-(-v)}{V-0}f_0\\&=&\frac{V+v}{V}f_0\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
そうだね。じゃあ、次は単位時間あたりのうなりの回数だ。

物理が苦手な文子
単位時間あたりのうなりの回数ってf=|f_1-f_2|よね。

物理が得意な秀樹
そうだね。ということは、Aからの振動数を求めた方法と同様に、Bからの振動数を求めて、差をとればいいということだ。やってみて。

物理が苦手な文子
Bからの音の場合は、正の向きが変わるのよね。

3A-10

    \begin{eqnarray*}f_B&=&\frac{V-v}{V-0}f_0\\&=&\frac{V-v}{V}f_0\end{eqnarray*}

物理が苦手な文子
振動数は近づく向きの方が大きくなるので、f_Aの方が大きいわね。ということは絶対値を外すことができて、

    \begin{eqnarray*}f&=&f_A-f_B\\&=&\frac{V+v}{V}f_0-\frac{V-v}{V}f_0\\&=&\frac{V+v-(V-v)}{V}f_0\\&=&\frac{2v}{V}f_0\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
答えは⑦だね。

物理が得意な秀樹
この問題の最後に「このうなりは、音が強め合う場所と弱め合う場所を、交互に観測者が通過することにより聞こえると考えることもできる。」と書いてあるね。

物理が苦手な文子
どういうこと?

物理が得意な秀樹
そもそもAB間には定常波ができていて、腹と節があるんだよね。この中を走ると、腹と節を交互に横切るから、観測者には音が強くなったり、弱くなったり聞こえるでしょ。

3A-11

物理が苦手な文子
その強弱がうなりになるっていうことね。

物理が得意な秀樹
そうなんだ。例えば腹-節-腹と進むと、1回うなりが聞こえるんだね。

物理が苦手な文子
ということは、L進むごとに1回うなりが聞こえるということだから、1秒間に何回聞こえるかというと、どう計算すればいいのかな?

物理が得意な秀樹
L進むのにかかる時間は、\frac{L}{v}秒なので、時間と回数の比を書くと、

    $$\frac{L}{v}:1=1:x$$

    $$L=\frac{V}{2f_0}$$

物理が得意な秀樹
なので

    \begin{eqnarray*} x&=&\frac{v}{L}\\ &=&v\times \frac{2f_0}{V}\\&=&\frac{2v}{V}f_0 \end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
というわけで、ドップラー効果とうなりの関係で求めた答えと同じになるね。

 

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