センター2016物理追試第4問B「万有引力」

4tB-1

物理が得意な秀樹
地球と人工衛星との万有引力の問題だね。万有引力の公式は覚えているかな。

物理が苦手な文子
雰囲気は覚えているんだけど・・・こんな感じだったっけ?

    $$F=G\frac{m_1m_2}{r^2}$$

物理が得意な秀樹
その通りだ。大丈夫だね。あとはこの問題には図がないので、図を描いてみよう。

物理が苦手な文子
人工衛星は地表面からhの高さを飛んでいるのね。こんな感じかな。

4tB-4

物理が得意な秀樹
いい感じの図になったね。じゃあ、万有引力を求めてみようか。

物理が苦手な文子
さっきの式に入れればいいから、

    $$F=G\frac{Mm}{(R+h)^2}$$

物理が得意な秀樹
正解!答えは⑤だね。次は問4。

4tB-2

物理が苦手な文子
万有引力で動いているときの、速さってどうやって求めるんだっけ?

物理が得意な秀樹
万有引力というよりも、円運動で考えた方が良いんじゃないかな?

物理が苦手な文子
円運動ね。じゃあさっきの図に速度vと、加速度aを加えると、

4tB-5

物理が得意な秀樹
そうだね。円運動の速度は接線方向、加速度は円の中心方向だね。次はどうしよう。

物理が苦手な文子
とりあえずは運動方程式かな。ma=Fだから、円の中心方向を正として、

    $$m\times a = F$$

物理が得意な秀樹
そうだね。運動方程式そのままだね。次はどうする?

物理が苦手な文子
Fは万有引力だから、問3の答えを入れればいいんだけど、選択肢を見ると、Fをそのまま使っているようなので、これは残しておこうかな。あとはaね。円運動の加速度の公式は、

    \begin{eqnarray*}a&=&v\omega \\&=&r\omega^2\\&=&\frac{v^2}{r}\end{eqnarray*}

物理が苦手な文子
とあるけど、今は\omegaは関係なさそうなので、最後の式を使おうかな。円運動の半径はR+hなので、

    $$m\times \frac{v^2}{R+h}=F$$

    $$v=\sqrt{\frac{(R+h)F}{m}}$$

物理が得意な秀樹
いいね!答えは③だ。最後に問5。

4tB-3

物理が苦手な文子
この問題は、どういうこと?kTaで表されているから、答えは⑤のmにもvにもよらないんじゃない?こんな問題?

物理が得意な秀樹
そんな問題だといいんだけどね。実際はT,am,vで表せないか分析しなきゃダメなんだね。

物理が苦手な文子
そういうことか。

物理が得意な秀樹
でもね、問題文1行目の「惑星の運動に関する法則」ってどんな法則か知らない?

物理が苦手な文子
この分野で聞いたことがあるのは、ケプラーの法則?

物理が得意な秀樹
そうだね。ケプラーの法則って、第1から第3まであるんだけど、3つがどんな法則か覚えてるかな?

物理が苦手な文子
あ〜、あんまり覚えていないけど、惑星は楕円軌道を描くってあったような気がする。

物理が得意な秀樹
第1法則だね。正確には「惑星は太陽をひとつの焦点とする楕円軌道を描く」っていう法則だ。第2法則は「面積速度一定の法則」。詳しいことは調べてみてね。

物理が苦手な文子
聞いたことはあるわ。

物理が得意な秀樹
第3法則が実は、この問題の設問そのものだ。「惑星の公転周期Tの2乗は、楕円軌道の半長軸aの3乗に比例する」っていう法則だからね。

物理が苦手な文子
この法則が人工衛星と地球の間にも成り立つと言っているのね。この問題で人工衛星は円軌道としているけど同じよね。Tの2乗と、地球の中心からの距離aの3乗の比は一定なのよね。つまり答えはやっぱり⑤ということね。

物理が得意な秀樹
そういうことなんだよ。でもせっかくだから計算しておいてもいいかな。一応ケプラーの第3法則の証明っていうことで。

物理が苦手な文子
簡単なの?

物理が得意な秀樹
簡単じゃないけど、順番に計算していけばたどり着くよ。まずaはこの問題ではどうなる?

物理が苦手な文子
それは簡単ね。

    $$a=R+h$$

物理が得意な秀樹
そうだね。次はTだけど、円運動の周期の式を使うと、この問題ではどうなるかな?

物理が苦手な文子
使えそうなのはこれね。

    \begin{eqnarray*}T&=&\frac{2\pi r}{v}\\&=&\frac{2\pi (R+h)}{v}\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
そうだね。ということは、kを計算してみると、

    \begin{eqnarray*}k&=&\frac{T^2}{a^3}\\&=&\left\{ \frac{2\pi (R+h)}{v} \right\}^2 \times \frac{1}{(R+h)^3}\\&=&\frac{4\pi^2}{v^2(R+h)}\end{eqnarray*}

物理が苦手な文子
分母にv^2があるので、kv^2に反比例するのね。

物理が得意な秀樹
残念ながらそんな選択肢はないね。

物理が苦手な文子
えーっ!じゃあ、どうすればいいの?

物理が得意な秀樹
まず問4の答えに問3の答えを代入してFを消去しよう。

    \begin{eqnarray*}v&=&\sqrt{\frac{(R+h)F}{m}}\\&=&\sqrt{\frac{R+h}{m}\times \frac{GMm}{(R+h)^2}}\\&=&\sqrt{\frac{GM}{R+h}}\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
これをさっきのkの式に代入しよう。

    \begin{eqnarray*}k&=&\frac{4\pi^2}{\frac{GM}{R+h}\times (R+h)}\\&=&\frac{4\pi^2}{GM}\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
となって、Gは定数だし、Mは地球の質量なので決まった値だよね。つまり、kvmによらず一定ということだね。いずれにしも、答えは⑤だ。

コメント

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