ピストンが固定されていて、シリンダーが動くっていうこと?
そうだね。シリンダーとピストンの問題は、普通ピストンにはたらく力の矢印を描くんだけど、この問題はシリンダーにはたらく力を描かなきゃダメだね。描いてみようか。
まず、重力を描きたいんだけど、こういう場合はどこから描けばいいの?
この図でいうとシリンダーがコの字になっているので描きにくいけど、重心はだいたい真ん中でいいのね。
真ん中よりちょっと下っていう感じでいいんじゃないかな。
重力があるのに、シリンダーが静止しているのは、何かが上向きにシリンダーを引っ張っているからよね。
空気って分子が飛び回っているんだよね。どうやって引っ張るの?
ん〜良く分からないけど、引っ張るとすれば空気しかないでしょ。
気体分子は壁にぶつかるしかないので、押すことしかできないんだ。だから、シリンダーを引っ張る力は何もないよ。
シリンダーの外の気体の押す力が大きいからだね。大気圧が
だから、シリンダーを押す力はいくらになるかな?
そもそも圧力って、力÷面積だから、押す力は圧力×面積よね。ただ大気圧って、いろんな方向から押すっていうこと?
確かにいろんな方向から押すんだけど、今はシリンダーが落ちない原因としての大気圧なので、上向きの力だけでいいんじゃないかな?
そうね。シリンダーは断面積が
なので、上向きの力は
ね。
さっきの話からすると、中の気体もシリンダーを押しているのよね。下向きの力だけ考えると、これでいいかな?
一応横向きの力もあるけど、360°同じ大きさの力を受けているので、つりあっているんだね。
それじゃあ、下向きを正としてつりあいの式を立てようか。
何となく覚えているんだけど、条件があったんじゃなかったっけ。
そうだね。内部エネルギー
の式で覚えなければならない式は1つだけなんだけど、「単原子分子理想気体」の場合という条件付きで、
だね。この問題では「1molの単原子分子理想気体」と書かれているのと、求めたいのは内部エネルギーの増加分
だということで、どうなるかな?
温度は
だけ温度が上昇しているので、
その通り!選択肢は⑦〜⑨に絞られたね。
はどうかな?
できそうなことは、ボイル・シャルルの法則を使うことかな?
ヒーターが気体に与えた熱量
を求めるのね。
を求めるときは、熱力学第1法則というイメージが強いんだけど。
実際は他にもあるけど、確かに熱力学第1法則が多いね。
だけど、熱力学第1法則って、なかなか分かりにくいのよね。
図を描いてみると分かりやすいかな。まず、熱は入ってきている?出ている?
そうだね。じゃあ、仕事はどう?気体は外に仕事をしたのか、外から仕事をされたのか。
確かにそうだね。でも仕事は単純で、気体の体積が増えていれば外に仕事をしたことになるし、気体の体積が減っていれば外から仕事をされたことになるんだね。
ということは、体積が増えているから、外に仕事をしたのね。図に描くとこうかな?
そうだね。内部エネルギーの増加量を図に描くとこうなるので、
この図から、文章を作るんだ。「外から熱量
を加えた結果、外に仕事
をして、内部エネルギーが
だけ増えた」と考えるんだ。
できるじゃない!そういうことだよ。あとは選択肢を見ると、
をどうにかしなきゃダメだね。
そうだね。この式の圧力
ってシリンダーの中の圧力?外部の圧力?