最初の空欄は、X線は紫外線より波長が長いか、短いか、を聞いているのね。これって覚えてなきゃダメなの?
そうだね。電磁波は、波長によっていくつか名前が付いているけど、おおよその名前は知っていた方が良いね。もちろん教科書にも載っているし、ネットで調べてもたくさんあるよ。
波長の長い方から並べると「電波→赤外線→可視光線→紫外線→X線→ガンマ線」となっていて、このくらいなら知ってても良いでしょ。
ということは、最初の空欄は「短い」で、次は「電磁波」ね。選択肢にある物質波って何だっけ?
そうだね。「物質波」は「ド・ブロイ波」とも言うんだけど、例えば光って、波だと思われていたけど、粒子だと考えないと上手く説明ができない現象が出てきたんだ。
聞いたことある。アインシュタインが関係しているんじゃなかったっけ?
よく知ってるね。現象としては「光電効果」だね。この「光電効果」をアインシュタインは「光は粒」と仮定することで上手く説明できることに気がついたんだ。詳しいことは調べてみてね。
「光電効果」とは逆に今まで粒子だと思っていたものが波の性質を持っている、って説明するときに「物質波」って使うんだ。例えば電子は粒子だと思われていたんだけど、波として考えると上手く説明できる現象が出てきて、電子も粒であり、波でもあるんだよ。
なかなか難しいけど、調べてみるわ。最後の空欄もよく分からないわ。
このグラフの飛び出ている部分が、特性X線を表しているんだ。その他の部分を連続X線というけど、その最短の波長は加速電圧で決まるんだ。逆に最長の波長は決まらないんだね。
波長が短い方がエネルギーが大きいんだよ。つまり、エネルギーの最大値は熱電子をどれだけ加速させたかで決まるけど、最小値はどこまでもあり得るっていうことだよ。
そうか、なんとなく分かったわ。最後の空欄は「最短の」が入るのね。
ブラッグ反射って言うんだけど、図は薄膜干渉に似てるんだよね。
屈折がないので、ブラッグ反射の方が簡単なんだ。上の結晶面で反射したX線と下の結晶面で反射したX線で、経路差を求めたいんだ。
これはさすがに簡単ね。左半分の赤い部分は、
だから、その2倍で
ね。
その通り。あとはその経路差が波長の整数倍だと強くなるんだ。
コンプトン効果の問題なんだけど、力学の分野でこの図と同じような感じでビリヤードの問題を見たことがないかな。
静止している物体に、別の物体をぶつけるとこの図と同様に2つの物体が動くという問題ね。確か、運動量保存のところで出てきたような気がする。
その通り!問題のコンプトン効果は、X線の運動量を考えると上手く説明できるんだ。
運動量って
で表せるでしょ。質量×速度だね。X線って電磁波だから、質量なんて無いのに、運動量を考えるんだよ。
通常はそうだよ。だけどコンプトン効果ではX線の運動量を
と考えると上手く説明できるんだ。特に、最後の空欄にあるように、X線は電子にぶつかると波長が変化するんだよね。これは「X線は波」とだけ考えていると説明ができないんだ。
そういうものなのね。とにかくまず最初の空欄は
ね。つぎのエネルギーは?
この分野でエネルギーと言ったら
かな?
分かってるじゃない!でも選択肢にないんだよね。それは
が与えられていないからだね。波のところで必ず使う式
をこの分野で使っている文字に置き換えるとどうなる?
そうだね。ということは、答えは③か④に絞られたね。最後は電子にぶつかったあと、X線の波長は長くなるのか、短くなるのかだね。
X線が電子にぶつかると、X線のエネルギーは増えるかな?減るかな?
X線が電子にぶつかった結果、電子は運動エネルギーを得るから、X線はエネルギーを失うわよね。
エネルギーを失うということは、波長はどうなると思う?
エネルギーといえば、さっきの
よね。波長は関係ないけど・・・
またさっきの
を使うと?
そうだった。
だからエネルギーは波長に反比例するのね。今はエネルギーを失うんだから、波長は長くなるっていうことね。