センター2017物理第1問 問1「運動量保存の法則」

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■まずは図を描く

物理が苦手な文子
この問題には図が無いのね。

物理が得意な秀樹
文章しかないね。

物理が苦手な文子
何の公式を使うの?

物理が得意な秀樹
慌てちゃダメだよ。この問題はそれほど難しくはないので,使う式さえ分かれば計算ができるかもしれないけど,やっぱりまずは図を描かなきゃ。こういう問題で図を描く練習をしておかないと,ちょっと難しくなると,図も描けなくなるよ。

物理が苦手な文子
文章だけの問題だから,一から図を描かなきゃだめよね。図を描くのは苦手なのよ。

物理が得意な秀樹
最初の状況は描けるでしょ。まずx軸を描いて,小球Aと小球Bの速さとその向き,質量を描こう。

物理が苦手な文子
こんな感じかな?

物理が得意な秀樹
いいじゃない。小球Bの速度は負の向きなんだよね。一応確認だけど,「速さ」と「速度」の違いは分かってる?

物理が苦手な文子
問題文には「正の向きに速さ3.0m/s」と「速さ」となっているわね。確か,「速さ」は大きさだけを持っていて,「速度」は大きさと向きを持つんじゃなかったっけ?

物理が得意な秀樹
ちゃんと分かってるね。

物理が苦手な文子
だとすると,もしかして小球Bの速度は「-1.0m/s」とマイナスを付けるの?

物理が得意な秀樹
それはどっちでもいいんだけど,僕はマイナスを付けない方がいいと思うな。

物理が苦手な文子
どうして?

物理が得意な秀樹
この問題のように一直線上の運動だと,向きをプラスマイナスで表すことができるけど,平面上の運動や立体的な運動だと符号で表すことはできないんだ。なので一直線上の運動であっても,基本は「向きは符号ではなく,矢印で表す」としておいた方が間違いは無くなると思うよ。

物理が苦手な文子
なるほどね,そうするわ。ということは,この図のままでいいわよね。この後,小球Aと小球Bは衝突するのよね。

物理が得意な秀樹
引き続き図を描いてみよう。

■向きが分からなければ正にする

物理が苦手な文子
こんな感じかな?でも衝突後の小球Bの動きが分からないわ。

物理が得意な秀樹
求めたいのは衝突後の小球Bの速さだよね。

物理が苦手な文子
とりあえず,衝突後の小球Bの速さをvと置くわね。向きはどうしよう。

物理が得意な秀樹
何となく分からないかな?

物理が苦手な文子
何となくだったら,x軸の正の向きかな。小球Aが衝突後もx軸の正の向きに動いているから,小球Bの進む向きが負の向きだと,また2つの小球は衝突することになるわよね。

物理が得意な秀樹
そうだね。衝突後の小球Bの速度の向きはx軸の正の向きで正解だ。ただ実際は,向きが分からない場合,とりあえず正の向きに取っておくのが基本だから覚えておいてね。

物理が苦手な文子
分かったわ。それじゃあ,図はこんな感じね。

物理が得意な秀樹
ここまで描ければ図は完成だ。

■「衝突」→「運動量保存の法則」

物理が苦手な文子
図が描けたらどうすればいいの?

物理が得意な秀樹
この図から式を立てるんだけど,2つの物体が「衝突」するときは,だいたい使う式は決まってるんだ。

物理が苦手な文子
決まっているの?

物理が得意な秀樹
「衝突」,「合体」,「分裂」などのキーワードがある場合は,「運動量保存の法則」を使うことが多いんだ。

物理が苦手な文子
聞いたことあるわ。

物理が得意な秀樹
「運動量保存の法則」がどのような場合に使えるのかは,教科書などで調べてもらうとして,簡単に言うと,「衝突・合体・分裂などの前後で,運動量の総和は変化しない」というが「運動量保存の法則」だよ。

物理が苦手な文子
運動量って,確かmvよね。

物理が得意な秀樹
その通り。それと大切なのが「運動量はベクトル」っていうことだよ。

物理が苦手な文子
ということは,負の向きに運動しているときは,運動量も負になるということね。

物理が得意な秀樹
その通りだ。それでは図を見ながら式が立てられるかな?

物理が苦手な文子
立ててみるわね。

    $$ 4.0 \times 3.0 - 2.0 \times 1.0 = 4.0 \times 1.0 + 2.0 \times v $$

    $$ 12 - 2.0 = 4.0 + 2.0v $$

    \begin{eqnarray*} v&=&\frac{10-4.0}{2.0}\\ &=&3.0m/s \end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
正解だ!答えは③だね。

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