■気温が高いと音速は速い
この話は教科書にはよく出てるんだけどね。最初の空欄の「音速」の話は分かるんじゃない?
気温と音速の関係は教科書にも載っているよね。気温を
〔℃〕,音速を
〔m/s〕とすると,こうだよね。
教科書に載っている,という意味では覚えておいた方がいいのかもしれないけどね。この問題でも数値までは問われていないから,センター試験としては,覚えなくてもいいんじゃないかな。
ただ,この式から「気温が高くなると,音速は速くなる」という関係は知らなきゃダメだね。あと気温にもよるけど,音速はだいたい340m/sっていうくらいは知っていてもいいかもね。
分かったわ。この問題では地表付近の気温が低いので,地表付近の音速は遅いということよね。
そうだね。つまり気温と音速の関係を知っていれば,選択肢は⑤か⑥に絞れるね。
■速さが変わると屈折する
ここまではいいけど,次の空欄が全く分からないわ。上空よりも地表の温度が低いと,音が遠くに届きやすくなるか,届きにくくなるか,のどっちかを選ぶのよね。
確かに分かりにくいかもね。感覚的にはどう?冬の夜中は,遠くの音が聞こえそう?聞こえなさそう?
冬の夜中って,すごく静かなイメージがあるから,遠くの音が聞こえそうに感じるわ。
その感覚が正解だよ。静かだから遠くの音が聞こえるっていう面もあるかもしれないけど,実は音の屈折が大きく関係しているんだ。
そう屈折だよ。まずは簡単に,地表の温度と上空の温度が明確に境界線で分かれている状態を考えよう。
地表から出た音は境界線を過ぎると,気温が上がることになるから速くなるんだね。さて,どっちに屈折する?
速さが変化すると,屈折するのね。でもどっちに屈折するの?
■屈折の法則
屈折の法則を考えてみるよ。角度と音速を図のようにすると,
よって,
なので,
の方が大きいということは,音はこっちに曲がるのね。
そうだね。実際の温度変化は連続的なので,曲線的に曲がるんだ。こんな感じね。
それと,実際はいろんな方向に音は広がっていくので,気温差がない場合と,地表の気温が低い場合の図を描いてみるよ。
この音の方向を考えると,地表の気温が低い場合かな?
そうなんだよ。なので答えは⑤だね。ついでに地表付近の気温が高い場合の音の動きは,屈折の向きが逆になるのでこんな感じになるんだ。