■放射線の性質を確認しよう
順番に見ていこうか。まず
線,
線,
線について確認しておこう。
強弱はあるけど一応どの放射線も電離作用を持っているのね。だから①ではではないわね。
線と
線は電気量を持っているから,磁場中で運動するとローレンツ力を受けて曲がるわよね。つまり,曲がらないのは
線ね。だから②も違うわね。
次は
崩壊と
崩壊の説明ね。
崩壊では原子番号が1増えるので,③も違うわね。
自然界にある物質では,ウランやラジウムなど,同位体によっては放射線を出す物質はあるね。だから④も違うね。
■ばらばらだとエネルギーが変わる
まず「核子」っていうのが,陽子と中性子のことね。原子核を構成している粒子ということね。
問題文の最初にある「原子核がもつエネルギーは,ばらばらの状態にある核子がもつエネルギーの和よりも小さい」ということなので,図にするとこんな感じ?
そうだね。
ということだね。核子がくっついている原子核をばらばらにするにはエネルギーが必要で,逆にばらばらの核子がくっつくとエネルギーを放出するんだ。
■質量はエネルギー!
そうだね。この原子分野でよく出てくる,質量とエネルギーの関係を知ってる?
アインシュタインが「質量はエネルギーだ!」と説明した有名な式だよ。
[laetx]c[/latex]は問題文にもある通り,真空中の光の速さで,3.0✕108m/sという定数なので,実質「質量はエネルギーだ!」って言ってるんだよ。
実は陽子と中性子の数が同じでも,原子核としてくっついているときよりも,ばらばらのときの方が全体の質量が大きいんだ。
■質量を求める
原子核の質量は
とあるわね。
そうだね。なので,ばらばらの状態のときが問題だね。原子番号と質量数ってなんなのか説明できる?
そうだね。そう書くんだけど,その数字はそれぞれ何を表しているの?
この関係から,陽子の数=原子番号だけど,中性子の数はどう表せる?
求めたいのは,エネルギーの差
だから,
■陽子の数,中性子の数は保存する
内容としては,太陽の中心部で起こっている難しい話だけど,問題としては難しくないよ。
まず核反応式があるけど,左辺と右辺で陽子の数と中性子の数が保存されるのはいいよね。
陽子と中性子が突然消えたり,いきなり現れたりしないっていうことね。
できる原子核の質量数を
,原子番号を
とすると,
が成り立つよね。
計算すると,
,
となるわね。でもこれだと,選択肢に答えがないわ。
原子番号,質量数が両方とも2というのは無いね。でも同じ意味のがあるんじゃない?
そうだね。同じことだよね。次はこの反応でエネルギーが放出されるのか,吸収されるのかなんだけど,太陽の中心部で起こっている反応なんだから,だいたい分かるでしょ。
太陽はエネルギーを放出しているから「放出」が答え?
一度核子がばらばらの状態を経由して考えるんだ。このとき,エネルギーの吸収よりも,放出のほうが大きいので,差し引き放出になるんだ。
その通り。他にも縦軸にエネルギーを取って,こんな風にも表すことがあるよ。