センター2017物理基礎追試第1問 問1「音の速さと性質」
物理が苦手な文子
音に関する問題ね。
物理が得意な秀樹
①から見てみようか。空気中を伝わる音の速さは何で決まるか知ってる?
物理が苦手な文子
確か気温で決まるんじゃなかった?音速は気温が高い方が速くて,気温が低いと遅くなる。
物理が得意な秀樹
その通りだよ。ちなみにこんな関係があるね。
物理が苦手な文子
①の文章でいうと,「音の速さは,音の高さや波長に関係なく」という部分は合ってるわよね。
物理が得意な秀樹
そうだね。音の高さによって音の速さが違ったら,違う高さの音がずれて聞こえるっていうことだもんね。もうしそうだったら,音楽はめちゃくちゃに聞こえちゃうよ。
物理が苦手な文子
「音の大きさに比例して」っていう部分が間違っているということでいいの?
物理が得意な秀樹
そういうことだ。これも音の大きさで速さが違ったら,音楽はどんな感じになっちゃうんだろう?とにかく①の文章は間違ってるね。
物理が苦手な文子
②の空気中と水中の速さの違いは分からないわ。
物理が得意な秀樹
教科書などには物質中の音の速さの違いが載っているけど,あまり見ないかもしれないね。例えば,水蒸気,水,氷だとこんな感じだよ。温度が違うけど傾向は分かるよね。
物理が苦手な文子
どうして,気体だと遅くて,固体だと速くなるの?
物理が得意な秀樹
原子や分子が強くくっついているほど,音は速く伝わると考えていいよ。振動が伝わりやすくなるんだね。水蒸気は分子同士くっつく力ってすごく弱いけど,固体だとすごく強いんだね。
物理が苦手な文子
ということは,水中の方が空気中よりも音は速く伝わるので,②も間違っているわね。
物理が得意な秀樹
その通り。③は気温と音の関係だね。
物理が苦手な文子
さっきの話では,気温が高いと速さは速くなるのよね。ということは,波長はどうなるかというと,波の式で考えればいいわね。
物理が得意な秀樹
波の問題では,必ずと言っていいほど出てくる式だよね。
物理が苦手な文子
「一定の振動数」だから,この式から,空気中を伝わる音は,速くなると波長は長くなるわね。だから,③の文章は合ってるわね。
物理が得意な秀樹
答えは③だね。他も見てみよう。
物理が苦手な文子
④は縦波は固体中では伝わらないかどうか,についての問いね。そんな風に聞いたことがあるような気もするけど。
物理が得意な秀樹
違うんだな。大切なのは,「横波は媒質が固体でなければ伝わらない」っていうことなんだ。
物理が苦手な文子
どうしてなの?
物理が得意な秀樹
これも,媒質の原子や分子の繋がり方に関係してるんだよね。まず縦波と横波の違いをまとめるよ。
物理が苦手な文子
これは見たことがあるわ。縦波は,波の進行方向と媒質の振動方向が平行で,横波は垂直なのよね。
物理が得意な秀樹
そういうことだね。媒質が固体のときは,原子,分子が強く繋がっているので,原子が動いたらその隣の原子も押されたり,引っ張られたりして動くんだ。
物理が苦手な文子
なんとなく分かるわ。
物理が得意な秀樹
固体や液体の場合は,原子が押されたら動くけど,繋がりが弱いから引っ張ったりされることがないんだ。
物理が苦手な文子
液体や気体でも縦波は伝わるっていうことね。
物理が得意な秀樹
そうなんだよ。でも横波は伝わらないんだ。
物理が苦手な文子
なるほど。とにかく,④の文章は,「音は縦波(疎密波)であるため」というのは合ってるけど,「固体中では伝わらない」というところが間違っているのね。
物理が得意な秀樹
その通り。⑤の超音波の話は分かるかな。
物理が苦手な文子
確か,クジラとかイルカって超音波を出したりできるのよね。あと,魚群探知機って超音波を使ってるんじゃなかったっけ?
物理が得意な秀樹
すごい,よく知ってるね。ということは,超音波は水中は伝わりそうだよね。
物理が苦手な文子
逆に言うと,空気中は伝わらないのかな?
物理が得意な秀樹
生物で有名なのはコウモリが超音波を使って障害物や虫を感知しているみたいだね。真っ暗な中でも飛べるからね。
物理が苦手な文子
じゃあ,超音波は空気中でも伝わるのね。
物理が得意な秀樹
そうだね。一応この文章で出てくる「可聴音」って振動数が,だいたい20Hzから20kHzの高さの音なんだ。
物理が苦手な文子
へーそうなんだ。
物理が得意な秀樹
実際は個人差があるし,年齢とともに振動数が大きい音は聞こえなくなっていくので,厳密じゃないけどね。
物理が苦手な文子
じゃあおおよそ超音波っていうのは振動数が20kHz以上の音なのね。
物理が得意な秀樹
そういうことだ。文章の間違いをまとめておくよ。
物理が得意な秀樹
答えは③だね。