■まずは図を描いてみよう
物理が苦手な文子
気体に熱を加える問題ね。
物理が得意な秀樹
問題の中に図が無いので,イメージしやすいようにピストンのついた断熱容器と,ついでに熱を加えたところまで図を描いてみるよ。
物理が苦手な文子
問題文には「断熱容器」って書いてあるけど,熱を加えることはできるの?
物理が得意な秀樹
なかなか鋭いね。確かに断熱容器の外から熱を加えることはできないね。だから,容器の中に電熱線を入れておいて,電流を流すと容器内の気体に熱が加わるという感じかな。
物理が苦手な文子
なるほど。
物理が得意な秀樹
まぁとにかく,気体に熱が加わると,気体の体積は減少するかな?増加するかな?
物理が苦手な文子
熱を加えたら気体の体積は増加するわよね。
物理が得意な秀樹
ピストンは「なめらかに動く」と書いてあるしね。
■「体積増加」は「気体が仕事をした」
物理が得意な秀樹
体積の変化と仕事の関係は分かるかな?
物理が苦手な文子
仕事?
物理が得意な秀樹
気体が仕事をしたのか,気体が仕事をされたのか,ということだよ。
物理が苦手な文子
体積が増えたから,気体が仕事したという感じがするけど。
物理が得意な秀樹
そうだね。気体の体積が増えていたら,かならず気体は仕事をしたことになるんだ。例えば誰かがピストンを引っ張った結果,気体の体積が膨張しても,気体は仕事をしたって考えるんだ。
物理が苦手な文子
引っ張った人が仕事をしたんじゃないの?
物理が得意な秀樹
違うんだよ。とにかく,気体の体積が増えていたら気体は仕事をしたと考えるんだ。
物理が苦手な文子
へぇーそうなんだ。
物理が得意な秀樹
あと問題文には,気体の内部エネルギーが増加したって書いてあるね。図で表すとこんな風になるよ。
■「熱力学第1法則」を理解しよう
物理が苦手な文子
熱と仕事と内部エネルギーの関係だから,熱力学第1法則を使うのね。
物理が得意な秀樹
その通り!
物理が苦手な文子
でも,熱力学第1法則ってよく分からないのよ。
物理が得意な秀樹
確かに分かりにくいよね。熱力学第1法則の式が2種類あるような感じがするからだね。
物理が苦手な文子
そうなのよ。
物理が得意な秀樹
熱力学第1法則はもちろん1つの式で表せるんだけど,気体が仕事をしたのか,されたのかで2種類あるような感じがするんだ。気体が仕事をした場合はこんな感じ。
物理が苦手な文子
気体に熱を加えた結果,こうなったっていうことね。
物理が得意な秀樹
一方,気体が仕事をされた場合はこんな感じ。
物理が苦手な文子
気体に熱を加えて,気体に仕事をした結果,こうなたっていうことなのね。
物理が得意な秀樹
そうなんだよ。並べてみるとこんな感じになるよ。
物理が苦手な文子
並べてみると分かりやすいわね。確かに違うのは仕事の矢印の向きだけね。
物理が得意な秀樹
そうなんだよ。ややこしく感じるかもしれないけど,式と図や文章を合わせて理解できれば,そんなみ難しいことではないよ。この問題ではどう考えたらいいかな。
物理が苦手な文子
気体の体積は増加しているから,気体が仕事をしたって考える方を使うといいのね。
物理が得意な秀樹
実際はどちらの考え方でも答えは出るんだけど,今はそっちの方が良いよね。図に数値を入れてみようか。
物理が苦手な文子
加えた熱量と,内部エネルギーの増加量が与えられているわね。
物理が得意な秀樹
いいね。そのまま式に入れて計算してみよう。
物理が苦手な文子
入れるわよ。
物理が得意な秀樹
その通りだ。答えは⑥だね。