センター2019物理第5問「熱サイクルとp-Tグラフ」


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温度の関係を求めておこう

物理が得意な秀樹
今日は時間がないから,各点での温度を出しておこうか。各点の温度をそれぞれT_A,T_B,T_C,T_Dとしておこう。
物理が苦手な文子
ボイル・シャルルの法則ね。

    \begin{eqnarray*}\frac{p_0V_0}{T_A}=\frac{2p_0V_0}{T_B}=\frac{2p_0\cdot 3V_0}{T_C}=\frac{p_0\cdot 3V_0}{T_D}\end{eqnarray*}

よって,

    \begin{eqnarray*}T_B&=&2T_A\\T_C&=&6T_A\\T_D&=&3T_A\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
いいね。これで温度の関係がT_A<T_B<T_D<T_Cということが分かったね。それじゃあ,過程A→Bを考えよう。体積が変わらない定積変化だね。
物理が苦手な文子
ということは外部にする仕事W_{AB}は0ね。
物理が得意な秀樹
A→Bで温度は上昇しているから,内部エネルギーは増加(\Dlta U_{AB}>0)しているよね。
物理が苦手な文子
つまり,熱力学第一法則を考えると,外部から吸収した熱量Q_{AB}は,

    $$Q_{AB}=\Dlta U_{AB}+W_{AB}>0$$

となるから,外部から熱を吸収しているわね。
物理が得意な秀樹
まとめると,気体が熱を「外部から吸収」し,気体の内部エネルギーは「増加する」ということで,答えは①だ。

仕事の総和は囲まれた部分の面積

物理が苦手な文子
「外部にした仕事の総和」ってどういうこと?
物理が得意な秀樹
外部にした仕事を正,外部からされた仕事を負として総和を求めなさいということだね。ちょっとわかりにくい表現だという意見もあるけどね。
物理が苦手な文子
確か,仕事はp-Vグラフの面積で求めることができるのよね。
物理が得意な秀樹
その通り。求めてみよう。
物理が苦手な文子
気体の体積が変わっていない過程A→Bと過程C→Dの仕事は0ね。体積が増えている過程B→Cは外部にした仕事は正ね。この面積を求めればいいわね。
物理が得意な秀樹
面積を求める前に,過程D→Aも考えちゃおう。
物理が苦手な文子
過程D→Aは体積が減っているから負の仕事をしたのね。
物理が得意な秀樹
ということは,面積を引き算したABCDで囲まれる部分の面積が,求める「外部にした仕事の総和」になるね。
物理が苦手な文子
単純に長方形の面積を計算すればいいのよね。

    \begin{eqnarray*}W&=&(2p_0-p_0)(3V_0-V_0)\\&=&2p_0V_0\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
そうだね。答えは③だ。

ここでも温度の関係が役に立つ

物理が苦手な文子
最初に温度を求めたから,これは簡単ね。
物理が得意な秀樹
そうだね。まず,過程B→Cと過程D→Aは定圧変化だから,①と②は違うね。DよりもCの方が温度が高いから,⑤か⑥のどちらかだ。
物理が苦手な文子
最初に求めた温度の比と合っているのは⑥ね。
物理が得意な秀樹
そうだね。あとは定積変化のときは,圧力と温度は比例関係になるから,原点を通る直線じゃなきゃだめだよね。やっぱり⑥が答えだ。
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