■力の矢印を描いて,運動方程式!
エレベーターの中の話だけど,この段階ではまだエレベーターは動いていないのね。
エレベーターが静止していれば,単に天井に滑車が固定されている状況と同じだよね。
ということは,まずそれぞれの物体に力の矢印をかけばいいわね。
まず重力を描いて,あとくっついているのは糸だけだけど,もうすでに糸の張力は描かれているので,ちょっと強調して描いておくわね。
そうしたら,次は加速度を描こう。
なので,加速度の向きは分かるかな?
の物体は下向きに,
の物体は上向きに加速するわね。
あとは運動方程式を立てたいんだけど,正の向きを決めておこうか。
■正の向きは,物体ごとに別々でいい
どっちでもいいよ。さらにいうと,2つの物体で,正の向きが違ってもいいよ。
そうだよ。運動方程式が立てられればいいので,別に正の向きが違っていても,全く問題ないんだ。
それじゃあ,加速度の向きと同じ向きを正の向きとするわね。
に代入
■まずは力の矢印を描く
エレベーターが静止しても,加速していても,物体にはたらくのは重力と糸の張力よね。
そうだね。それじゃあ,ばねが糸を引く力はわかるかな?
ばねののびが
だから,ばねが糸を引く力は
ね。
ということは,糸の張力も
ということだよね。ちゃんと考えるとこういうことだよ。
なるほど。物体にはたらく糸の張力は
ね。
力の矢印が描けたら,加速している場合は加速度を描いて,運動方程式を立てるのが普通だよね。もちろん,この問題もそうやれば解けるんだ。
■2通りの考え方をマスターしよう
まずは,そうやってみるけど,問題文にもあるけど,物体は「エレベーターに対して静止」しているので,エレベーターに乗っている人から見た力のつりあいの式を立てて,答えを出すこともできるんだ。
この問題だとどっちも同じかな。練習だから,両方の方法で解いてみよう。まずは運動方程式を立てる方法からね。一応,もう一方の方法と比較するために,エレベーターの外に人の絵を描いておこうか。
こんな感じでいい?この人から見ると,エレベーターも,物体も加速しているっていうことよね。
■「慣性力」は難しくない!
正解だ。答えは②だね。それでは次はエレベーターに乗っている人の立場で考えてみるよ。
加速している人が観察する場合は,「慣性力」を考えなきゃダメなんだ。
「慣性力」って聞いたことはあるんだけど,あんまりよく分からないわ。
考え方は簡単で,「慣性力」っていう力を1つ増やすだけだよ。加速度と逆向きだから,こんな感じ。
それだけだよ。そして,この人から見ると,物体は静止してるので,力のつりあいの式を立てるんだ。
それじゃあ,鉛直上向きを正として,力のつりあいの式を立てるわ。
どっちの方法で解いても,もちろん答えは同じ②になるね。