■1巻きコイルの電磁誘導
図とグラフを見ると,円形の導線に,磁石を近づけたり,遠ざけたりしているのね。
これって電磁誘導が起こるの?円形の導線をコイルと考えてよければ,電磁誘導が起こると考えていいんだと思うんだけど。
そうだね。普通のコイルってエナメル線が何回もぐるぐる巻いてあるイメージだよね。
実際は1回でもぐるっと巻いてあれば,コイルと考えていいんだ。
そうだね。そもそも電磁誘導って,どういう現象かは分かる?
コイルに磁石を近づけたり,遠ざけたりすると,コイルに電流が流れるっていう現象よね。
ということは,時間範囲Ⅰでは棒磁石は静止しているので,電流は流れないわよね。
時間範囲Ⅱではコイルと磁石は近づいていて,時間範囲Ⅲでは遠ざかっているのね。
確か磁石とコイルが近づくときと遠ざかるときでは,電流が流れる向きは逆になるわね。
そうだね。つまり答えは⑦だ。「物理基礎」の範囲ではこれでいいんだけど,「物理」の範囲では電流の流れる向きがわかるので,考えておこうか。
■実際の電流の向きは?
時間範囲Ⅰでは電流が流れないのは,それでいいわよね。
時間範囲ⅡではコイルにS極が近づくんだね。S極付近の磁場の向きはわかるかな?
S極には磁力線が入っていくので,図でいうと上向きね。
そうすると,S極をコイルに近づけると,コイルを貫く上向きの磁束が増えるよね。
そうすると,それを妨げる向き,つまり下向きの磁束が増えるような向きにコイルには電流が流れるのよね。電流が流れる向きは,上から見ると時計回りになるわね。
そうだね。コイルを流れる電流の向きは右ねじの法則に従うんだよね。
ということは,S極をコイルから遠ざかると,コイルを貫く上向きの磁束が減るわよね。その変化を妨げるように,つまりコイルを貫く上向きの磁束ができるように,こいるに電流が流れるのね。
そのくらい理解できていれば,この段階では十分だね。もう一度確認すると,この問いの答えは⑦だ。