理科は将来役に立たないのか?ーH24全国学力・学習状況調査

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小学生は理科が好き!ところが中学生になると好きな生徒が減ります

 「平成24年度全国学力・学習状況調査」によると、理科の勉強が好きと答えた小学校6年生の児童は82%で、国語や算数よりも好きな児童の割合が高いです。「好き」なことは勉強のモチベーションを保つためには非常に大切なので、とても良い結果だと思います。

勉強が好き

ところが、中学生3年生になると理科が好きな生徒の割合は62%に減ります。国語や数学よりもまだ割合は高いのですが、小学生の割合が高かった分、減少率が大きくなっています。大変残念です。これは何とかしなければなりません。

理科は好きだけど、理科の勉強が大切だとは思っていない

勉強は大切

 小学6年生もそうですが、中学3年生は理科の勉強が大切だと思っている生徒は少ないですね。前述の「勉強が好き」と比較すると、国語や数学はあまり好きではないけど、勉強することは大切だと考えているようです。逆に、理科は楽しいけど、理科を勉強することはそれほど大切だとは思っていないのです。

東京大学の学部別定員をみると、理科の勉強は大切だと思うのですが

東京大学は、入学試験は学部別ではありませんが、その後学部別に分かれます。その学部別の定員が次のようになっています。 

東大学部別定員

 この表を見ると、「理科」に関係のある学部の定員が多いと感じますがどうでしょう。もちろん、国語や数学の力はどの学部も必要です。つまり、国語・数学・英語などは幅広く必要にはなりますが、社会に出て直接必要になるのは、理科の力ではないでしょうか。

大学に進学する人が全てではありませんが、小中学生のうちから、自分の進路選択を狭めている感じがします。小中学生が、理科の勉強を大切だと感じないのは、なぜなのでしょうか。

さらに、「理科」は社会に出た時に役立つとは感じていない

理科が役に立つ

 理科の勉強が大切だと感じていないのは前述の通りなのですが、理科の学習は将来役に立つ、と思っている子どもはさらに少なくなっています。中学3年生が理科の学習を将来役に立つと思っている割合が53%というのは、衝撃的な数字です。国語や数学と比べて圧倒的に少ないのは、明らかに大人のせいでしょう。

小学生の数値にも問題があると思います。最初のグラフの通り「理科の勉強が好き」な小学6年生は国語、数学よりもずっと多い82%でした。しかし、社会に出た時にはそれほど役に立つとは思っていません。理科の授業は、実験や観察があって楽しいんですね。しかしその内容が社会とは離れたところにある、と小学生は感じているのではないでしょうか。

理科の学習と、社会とのつながりを意識できるような活動をしよう!

高校で物理を教えている筆者としては、最も社会に必要とされているのが「理科」だと思っていますし、生徒にもそんな話しをしています。ところが一般的にはそう感じている大人が少ないのでしょう。小学校の先生も理科と社会のつながりを感じることなく、大学に進学して教員になった人が多いのではないでしょうか。

小学校の先生は「理科の楽しさを小学生に伝える」というたいへん重要な仕事に関して、すばらしい結果を残しています。私のような立場の人間が、さらに支援をする必要があると思っています。その活動の1つとして、このサイトを立ち上げました。

コメント

  1. […] 「小学校学習指導要領実施状況調査」で、理科が将来役に立つかどうかを聞いた結果です。(小学校6年生のデータですが、5年生も同じ傾向です。)以前紹介した「理科は将来役に立たないのか?ーH24全国学力・学習状況調査」と同様の結果です。4教科の中で、役に立つと答えた児童は理科が一番少ないです。やはり、このあたりを何とかしなければならないですね。 […]

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